萩生田氏へ配慮、信者「深い絆」 選挙は「S」、政治家名記さず集会招集 旧統一教会

萩生田氏へ配慮、信者「深い絆」 選挙は「S」、政治家名記さず集会招集 旧統一教会


 自民党萩生田光一政調会長生稲晃子参院議員が出席した「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の教会で行われた集会などについて、教団の現役信者らが朝日新聞の取材に詳細を語った。うかがえるのは、萩生田氏と信者らが長年にわたり築いてきた関係だ。萩生田氏に迷惑がかからないようにする教団側の配慮もみえる。
 ■教会に150人
 参院選公示を4日後に控えた6月18日午前、当時経済産業相だった萩生田氏の選挙区の東京・八王子市内の教団の教会に150人ほどの信者らが集まった。司会者はこれから萩生田、生稲両氏が来ることを明言。期日前投票に行くことなどを求めた。「萩生田さんと生稲さんが入場します」と声を張り上げると拍手に包まれた教会に両氏が現れた。
 教会の幹部が歓迎の意を伝えた後、萩生田氏は舞台に一礼して登壇した。舞台上の壁には、教団の創始者である故・文鮮明(ムンソンミョン)氏と現総裁の韓鶴子(ハンハクチャ)氏の夫婦の肖像がかけられていた。萩生田氏は生稲氏を紹介し、参院選に立候補することなどを説明したという。
 その後、信者らによる激励のパフォーマンスが始まった。若い信者数人が舞台に上がり、アニメ「巨人の星」の音楽が流れ始めた。
 「行くが~、晃子の~、ど根性~」。信者らはスクリーンに映る替え歌の字幕を見ながら、生稲氏の応援歌を熱唱。壇上の若い信者らは野球のまねをしながら盛り上げた。歌が終わり登壇した生稲氏は、感極まった様子で目頭を押さえて信者らに感謝を伝えたという。
 30分ほどで、萩生田、生稲両氏は退席。その後、同じく自民から参院選比例区に立候補を予定していた井上義行氏が会場に来た。井上氏は教団の「賛同会員」だった。安倍晋三元首相の首相秘書官を務めていた経歴などが紹介された。信者らは井上氏にも「巨人の星」の替え歌を贈った。
 この日の集会の流れや会場の様子は、この信者以外の教団関係者も朝日新聞の取材に認めている。関係者は萩生田、生稲両氏について「集会でよく対応してくれたので、信者の支持が集まった」と話している。
 井上氏の事務所は取材に「世界平和連合の企画で、井上よしゆきを応援する会に出席し、来ていた方々にあいさつをさせていただきました。党にも報告済みです」などとコメントした。
 ■写真認めず
 集会に出席した現役信者らは、8月下旬から数回にわたって取材に応じた。萩生田氏について、八王子市議の時代から多くの信者が支援してきたと証言した。
 萩生田氏らが出席した6月18日の教会での集会は、2日前の夕方に平和連合の多摩東京事務局長名でLINEにより招集がかかった。選挙を意味する「S」の「応援激励会」という名目で、萩生田氏や生稲氏の名前は直接、記されていなかった。
 信者は「LINEは外部に流出する可能性もある。教団との関係が公になって萩生田さんが傷つかないようにすることは、八王子教会の共通認識だ」と説明。「一般の信徒が萩生田さんのことを公にするのは禁じられている」とも述べた。集会などでは、信者が写真を撮ることも認められていない。
 先の参院選以外に、萩生田氏は自身の選挙でも八王子市内の教会を訪れ、この信者は萩生田氏から政策の訴えなどを聞いてきたという。「萩生田さんの選挙の際は、議員活動の映像を編集した応援動画が流された。萩生田さんを激励する替え歌もある」と話す。
 萩生田氏の選挙の手伝いもしてきたという。信者の知人が電話かけをしたり、街頭演説の際に聴衆らの整理をしたりもした。「萩生田さんと八王子教会との絆は深い」と語る。
 八王子教会に通っていた元信者の女性も、萩生田氏が落選した2009年ごろ、教会の集まりに顔を出していた姿をよく覚えている。壇上であいさつをしていたという。
 再起を期した12年の衆院選前には「水曜の夜にあった礼拝に顔を出してくれた」。決起集会に動員され、事務所での電話かけも手伝ったといい、「教会長から『萩生田さんは安倍さんの側近。政界に戻すことが神の計画だ』と指導された」と振り返る。「(萩生田氏は)お父さんのような存在だった。当選が決まったときはうれしくて、日本は救われると本当に思った」と話した。
 萩生田氏は八王子市議の秘書を経て、1991年の市議選で27歳で初当選。市議を約10年、都議を2年余り務めたあと、03年の衆院選で初当選し国政に転身。安倍元首相の側近として党や内閣の要職を務めた。
 萩生田氏はこれまで記者団に、教団の関連団体「世界平和女性連合」との関係を認めたうえで、「(教団と)承知の上でお付き合いしているのではない」などと説明している。取材に応じた信者は「萩生田さんを応援しているのは信者で、萩生田さんの顔見知りもいる。私としては、まず教会との関係が先にあるという認識だ。残念だ」と話す。別の教団関係者は「萩生田さんは地方から国政に行っても、我々と付き合いを保ってきた政治家だ」と評価している。
 ■「現場で問い合わせあったので」
 萩生田氏は教団側との関係について、これまでどう語ってきたのか。
 経産相だった8月2日、閣議後の記者会見で、過去の教団側とのつきあいについて問われ、「あくまでお誘いされた会合の冒頭でごあいさつしたという事実はあったが、特別、何というか、承知の上でお付き合いしているのではなく、地元の皆さんの中にそういう関係者がいたのかもしれないという認識だ」と述べた。
 2週間後の16日、萩生田、生稲両氏が八王子市の教会であった集会に出席したことが報じられた。萩生田氏の事務所は17日、朝日新聞の取材に「6月18日 八王子駅付近での街頭演説終了後、聴衆の方から『近くで仲間が集まっているのでお話を聞かせてもらえないか』と申し出があり、スタッフが調整した」と説明した。
 さらに説明を求められた萩生田氏は翌18日、自民党本部で記者団の取材に応じ、「生稲さんの初めての選挙で、どういう活動をしていいかわからない中で、現場での問い合わせがあったので、お邪魔することは私が了解して行った」と語った。女性連合の集会と受け止めていたという。
 9月8日には同氏の事務所が、女性連合と教団の関連性について「先方から特段話はないので、こちらからもあえて聞かない、そういうあいまいな認識であったことは否定できない」とコメントした。
(朝日新聞9月22日)
https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S15423726.html