「丁寧な説明」に程遠い国会答弁

「丁寧な説明」に程遠い国会答弁

 

 安倍晋三は「丁寧に説明していく」とよく語った。

 では実際の国会論戦の模様はどうだったのか。

 以下は、2017年6月16日、参議院予算委員会の一コマだ。この日は、「共謀罪」法が強行採決された次の日である。

 「国会会議録検索システム」から引用する。

 


025 福山哲郎

福山哲郎君 民進党新緑風会の福山でございます。総理を始め閣僚の皆さん、よろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭でございますが、非常に残念なことが与党自民党からありましたので、一つ国民の皆さんにお知らせをしておきたいと思います。

 今日、実は、予算委員会、これ三月の終わり以来の久しぶりの予算委員会ということで、今、加計学園の問題が大変国民の関心も高いということですので、野党としては前川前文科省事務次官参考人招致をこの予算委員会に求めました。残念ながら、またもや自民党が拒否をしました。前川前事務次官は民間人でいらっしゃいますけれども、実はこの通常国会予算委員会、来ていただいております。なおかつ、御本人も、参考人も証人喚問も出席の意向があると言われているにもかかわらず、呼ばない理由はないんですが、理由も明確にされないまま、自民党参考人の招致を拒否をしました。これは強く抗議をしたいと思います。

 一方で、共謀罪の審議の法務委員会は、与党が全会一致の原則を崩して多数決で刑事局長を参考人にずっと居続けさせるという、これも憲政史上例にないことをやられました。片方では刑事局長を陪席、多数決で決めて、片方では前川前事務次官、この国会に、この通常国会に来ていただいている方にもかかわらず拒否をしたと。非常に凸凹の対応だというふうに思っておりまして、非常に残念に思います。

 それで、総理、国会がお決めになることだと言われるのは重々分かるんですが、やはり総理がいろんなところで、総理の御意向だとかいうことで、前川前事務次官は間違いなく総理の御意向があったと、それから文書の存在も認められたわけです。これは、総理が今言われていることと真っ向から対立します。例の森友学園の籠池さんのときには、総理を侮辱したといって証人喚問をやられました。前川前事務次官は侮辱はされていないと思いますが、総理の今の主張とは真逆のことを言われています。

 やっぱり、こういう場で総理が身の潔白を証明する場合に、前川前事務次官を国会に呼んで、参考人として来ていただく、若しくは証人喚問すると。総理としても、自民党の総裁でいらっしゃいますから、国会がお決めいただくんだといういつもの答えではなく、少し前向きにお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

026 安倍晋三

内閣総理大臣安倍晋三君) 真逆ということではないんだろうと思いますが、いずれにせよ、これはもう福山委員が重々承知の上で質問されているということも私も分かっておりますが、まさにこれは院の方で、また委員会の方でお決めになることでありますから、行政府の長としてそれに対して指示をするということが今までもなかったわけでございますので、これはまさに国会においてお決めをいただきたい。国会においてお決めをいただければ、我々はそれに従っていくことは当然のことであろうと、このように考えております。

027 福山哲郎

福山哲郎君 行政の方で決めたことはないということを言われるから国民は白けるんです。この間の強行採決、中間報告という名の審議打切り、強行採決だって、それは官邸の意向が強く働いていると世間はみんな思っているわけです。

 やはりそういうことを言われるから国民の皆さんは白けるというふうに思いますし、まあ理事会で、委員会で決めていただければ呼べばいいとおっしゃっているので、是非、自民党の皆さん、与党の皆さんは参考人招致に賛成をいただきたく思います。

 続いて、総理、前川前事務次官ですが、前川氏を文科事務次官に任命をされたのはどなたですか。

028 安倍晋三

内閣総理大臣安倍晋三君) ちょっと私も記憶が余り、事務次官を、様々な事務次官が内閣でそれぞれ任命されておりますから、一々私もそれは承知をしていないところでございます。

029 福山哲郎

福山哲郎君 別にここで僕は総理を、何か知らないのかみたいなことを言うつもりは全くありませんが、内閣人事局の制度になって、普通、任命権者は一義的にはもちろん文科大臣です。しかしながら、今は任命協議というのがあって、そこは総理と官房長官と文科大臣と三人で協議をして最終決定になって、任命されるのは文科大臣ということになっています。

 ですから、総理と官房長官と文科大臣が協議をして事務次官は決まります。もちろん前川前次官は安倍内閣での任命ですが、それでよろしいですね。

030 安倍晋三

内閣総理大臣安倍晋三君) 形式的なものでありますから、言わば協議ということについて私は全く記憶がないわけでありますし、基本的に大臣から言われたものを事実上ほぼ全て認めてきているところでございますが、前川次官が安倍内閣、もう安倍内閣も四年続いておりますから、恐らくその間に任命されたのだろうと、このように思います。

031 福山哲郎

福山哲郎君 今の答弁はちょっと問題で、内閣人事局の制度になっていますから、総理も官房長官も十分意思決定者です。

 それで、私は思うんですけど、どうですか、やっぱり自分の時代の事務次官文科省事務次官というのは、やっぱり僕は、それぞれ本当に、国家公務員試験を合格されて一生懸命国のために尽くしてこられた人です。総理にとっても、やはり事務次官ですから、一緒に仕事をされてきた方です。その方が、この加計問題に対して総理の意向を感じざるを得なかったと、それから文書の存在はあると、あるものをないとは言えないといって会見等をされました。一緒に仕事を安倍政権の中でやって、半年とはいいながら事務次官に任命をされた人がこういうことを言われる事態について、総理はどう思われますか。

032 安倍晋三

内閣総理大臣安倍晋三君) 前川前次官も、これは日経新聞のインタビューにおいては、これは政策的なことなので政府の意向は関係ないという趣旨のこともおっしゃっておられるというふうに承知をしておりますが、いずれにせよ、先ほど山本大臣と阿達議員とのやり取りの中にあったように……(発言する者あり)ええ、先ほどですね。どのようにそれぞれの、言わばこれ、前川次官と私が議論したということではなくて、この当該の内閣府の職員と文部科学省の職員が議論をし、そのときの出来事をメモにしたということであり、そのことから前川次官が感じ取ったこと等についてお話をされているんだろうと、このように思う次第でございますが。

 いずれにせよ、これ政治的な言わば事柄となった段階においては、また大臣なり、また私にも直接問合せをしていただければよかったのかなと、こんなように考えているところでございます。

033 福山哲郎

福山哲郎君 私の聞いているのは、このことを言っているんではなくて、前次官だった方が、総理の御意向はあった、さらには、文書が確認できなかったとしている安倍政権に向かって、文書は存在して、あるものをないとは言えないと、そして行政がゆがめられたとまでおっしゃっている。それは、総理として、事務次官は一緒に仕事する人たちですから、そういう状況に今なっていることについてどう思われますかとお伺いしているんです。

034 安倍晋三

内閣総理大臣安倍晋三君) そういうことであれば、大変残念でございます。