<社説>電気代上限撤廃 北電の経営努力が先だ

<社説>電気代上限撤廃 北電の経営努力が先だ

2022/8/31 北海道新聞

 

 北海道電力電力自由化で導入した割安な自由料金プランについて、燃料価格の変動を反映できる上限を12月分から撤廃する。

 燃料高騰をすべて価格転嫁しないと経営を圧迫すると言う。だが物価高で道民の暮らしは限界だ。

 家庭向けが多い低圧の80万件が対象で、通常の規制料金よりも高くなる逆転現象も起きてしまう。

 低圧の75%を占める規制料金は国の認可が必要で、今回は上限撤廃しない。仮に申請したとしても国は安易な値上げを認めず、経営努力徹底を指導してほしい。

 自由料金の上限撤廃は道内の新電力に加え九州、四国電力などでも相次ぐ。とはいえ、そもそも北電の料金は全国的にも高かった。

 泊原発再稼働に傾倒するあまり多様な電源開発を怠り、火力偏重に陥った要因も省みるべきだ。

 電気・ガス料金には燃料や原料費を反映できる調整制度があるが、基準を超過した場合は会社が負担する上限を設ける。社会インフラを担う企業の責任といえる。

 上限を撤廃すれば料金が青天井になりかねない。北電は「さらに上がる可能性は高い」とする。

 今回対象となる自由料金は25種類で6年前の電力小売り自由化以降、新電力に対抗するため導入したものだ。基本料金や夜間料金を下げたり、ポイントを付与したりして割安感を強調していた。

 これが標準世帯で8%に当たる月700円程度上がり、逆に規制料金より570円ほど高くなる見込みだ。安さを売り文句にサービス合戦を重ねた末、利用客につけ回すのは納得できない。

 規制料金だと改定はハードルが高い。東京電力福島第1原発事故後に収益が悪化した電力大手が値上げ申請した際は、国から経費縮減などを認可の条件にされた。

 認可不要な自由料金は電力会社の価格調整弁になってはいないか。自由化の制度設計が適切だったのか国にも検討を求めたい。

 北電は燃料価格が1年前と比べ2倍以上に急騰したと苦境を訴える。確かにそれは事実だがコストを吸収する努力が見えてこない。

 3月期連結決算は大幅減益ながら68億円の黒字だった。内部留保である利益剰余金は1300億円で現預金も880億円持つ。

 コロナ禍で巨額赤字に苦しむ航空、鉄道大手などに比べ、身を切る改革の姿勢も乏しいようだ。

 値上げを機に泊原発再稼働を求める声も予想される。だが、電気料金引き下げにつながる確証はない。冷静な対応が求められる。