ある宗教団体は、その非社会的体質について一時期さまざまなうわさが飛んだが、それゆえかこの団体は組織名を変えたいと望んでいたという。歴代内閣はそれを認めないとの立場だった。ところが第2次安倍内閣の誕生からまもなくこの団体は名称を変えることが許可になったというのだ。

戦後民主主義への挑戦・・・     保阪正康

 

 安倍晋三内閣になって、集団的自衛権や安保関連法など防衛問題に関していささか旧体制回帰の感がするが、実はこのほかにも戦後民主主義体制への挑戦が目立っているようなのだ。
 過日、神道関連団体の有力者に会って雑談を交わしていたら、気になる話を聞かされた。ある宗教団体は、その非社会的体質について一時期さまざまなうわさが飛んだが、それゆえかこの団体は組織名を変えたいと望んでいたという。歴代内閣はそれを認めないとの立場だった。ところが第2次安倍内閣の誕生からまもなくこの団体は名称を変えることが許可になったというのだ。
 この有力者は首をひねっていたが、メディアが詳しく報じないのはなぜと漏らしてもいた。
 もうひとつ指摘するが、ある元官僚から直接聞いた話なのだが、小学校は2018年度から、中学校は2019年度から検定教科書を導入して「道徳科」を実行する予定になっている。文科省の教育課程課の「道徳教育の抜本的改善・充実」によると教育再生会議の提言・中央教育審議会の答申を踏まえて学習指導要領の一部改訂が行われる。その「具体的なポイント」に4点があげられ、そこに検定教科書の導入がある。さらに「数値評価ではなく、児童生徒の道徳性に係る成長の様子を把握」という項目がある。
 問題はこの「数値評価」にある。表向きは数値評価しないとはいうのだが、昨今の動きはむしろその方向に行く危険性があるという。愛国心が点数化されるのだ。加えてそれが中学や高校の入試の参考にされるのではないかと教育界でも懸念されているというのである。
 「どう思いますか」と問われた。私は1937年(昭和12年)に文部省が発した「国体の本義」(皇国史観のもと神格化した天皇の国家を説く)が高等小学校や旧制学校で強制的に教科となり、やがて入試にも取り入れられたケースを思い浮かべると答えた。この内閣の怖さを私たちは自覚しておく必要がある。歴代の保守党内閣とはあまりにも異なっている。(2016年2月24日 審査報)

 

保阪正康 歴史を見つめて』(2018年 北海道新聞社)