警察庁長官「問題あった」と認める 安倍元首相の警護警備「基本の怠りいくつも」の指摘も 2022年7月12日

警察庁長官「問題あった」と認める 安倍元首相の警護警備「基本の怠りいくつも」の指摘も
2022年7月12日 東京新聞

 

 安倍晋三元首相への銃撃事件から4日、警察組織のトップが初めて記者会見し、警護・警備に問題があったことを認めた。警護対象となっていた首相経験者が襲撃され、死亡するという失態への批判は大きく、警察当局は早急な対応を迫られている。
 12日午後5時半から警察庁であった記者会見。中村格長官は苦渋の表情で「重大な結果を招いた。警察庁長官としての責任は誠に重い」と語った。ある警察幹部は「警備は結果責任。長官の処分は免れないだろう」と話す。
◆内部に検証チーム設置
 12日に警察庁に設置された「検証・見直しチーム」は、検討項目の筆頭に警護・警備の「体制と配置」を挙げた。
 8日の事件当時の映像などでは、演説中の安倍元首相の背後から近づく山上徹也容疑者(41)に、現場の警察官たちが気づいていなかったようにも見える。
 当日の体制の詳細は明らかにされていないが、警護計画は奈良県警が作り、警視庁から警護員(SP)一人が派遣されていた。現職ではない元首相については特段の事情がない限り、警察庁都道府県警に警護計画の報告を求めてこなかったことの是非も問われる。
 また、発砲の間隔は1発目と2発目で約3秒あったにもかかわらず、1発目の後に安倍元首相をかばう対応が不十分だったとの指摘があり、緊急時の対処が適切だったかも検証される。
◆専門家「背後のみを監視する警察官がいれば」
 米国で要人警護やテロ対策の訓練を受けた警備会社「リスクコントロール」(東京)の伊藤慎一社長は「基本の怠りがいくつも重なった」と分析する。
 伊藤氏が最も問題視するのが警察官の配置状況。「安倍元首相の左右に警察官が立っていたが、前方の聴衆の監視が中心になり、背後を十分に警戒しきれていなかったのではないか。背後のみを監視する警察官がいれば、容疑者は犯行に踏み切れなかったはずだ」と話す。
 SPの立ち位置も元首相と「離れすぎていた」とし、「通常は要人と1~2歩の距離にいなくてはいけない。そうすれば、2発目の前に立ちはだかったり、元首相を突き飛ばすなどして守ることができた可能性がある」と指摘する。
 警察庁の検証・見直しチームについて、「二度とこのような結果を招かないよう、警備計画や配置が適切だったのか、しっかり検証してほしい」と求めた。(佐藤大、山田雄之)
警察庁長官「重く受け止める」会見で進退には言及せず
 安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件を受け、警察庁中村格長官は12日に記者会見し、「警察として警護・警備の責任を果たせなかったことを極めて重く受け止めている。ざんきに堪えない」と述べた。
 警察庁は同日、露木康浩次長をトップとする「検証・見直しチーム」を設置。事件時の体制や配置などを検証し、警護・警備の在り方を抜本的に見直し、検証結果は8月中に取りまとめる。
 中村長官は12日の臨時の国家公安委員会後に会見を開き、「警察庁都道府県警察を指揮監督する立場。現場の対応のみならず、警察庁の関与の在り方にも問題があった」とした。
 自身の進退について問われ「今の段階で私が果たすべき責任は、検証と見直しの作業に全身全霊を向けることだ」と述べた。
 委員会に先立ち、二之湯智国家公安委員長警察庁に、警護・警備の検証と見直しを指示した。