三原じゅん子の「八紘一宇」発言 その本義とは… 大原康男国学院大名誉教授

三原じゅん子の「八紘一宇」発言 その本義とは… 大原康男国学院大名誉教授

2015/4/3 産経新聞

 

 漢和辞典によれば、「八紘」は「天地の八方の隅」の意で、転じて「全世界」を意味し、「宇」は「軒」または「家」を指す語で、「八紘一宇」は「世界を一つの家にする」というのが原義である。

 

 三原議員はこれを「日本が建国以来、大切にしてきた価値観である」と述べ、この理念の下に「世界が一つの家族のようにむつみあい、助け合えるような経済、税の仕組みを運用していくことを確認する政治的合意文書のようなものを、安倍晋三首相がイニシアチブを取り、世界中に提案していくべきだ」と主張した



敗戦の年の12月15日に連合国軍総司令部(GHQ)が日本政府に交付した「神道指令」(国家神道を廃止し、国公立学校における神道の教育・研究を禁止することを主たる目的とする)において、「八紘一宇」は「大東亜戦争」とともに「軍国主義、過激ナル国家主義ト切リ離シ得ザル」語として公文書で使用することが禁止された。この見解を今もそのまま諾(うべな)って「アジア侵略を正当化する理念だった」(「東京新聞」平成27年3月19日付)などと断定する手合いがあちこちに見られる。



 東京裁判で日本人弁護団の副団長を務めた清瀬一郎は、事実問題で立証に成功したのは「八紘一宇は侵略思想でないということ」のほかには一件あるだけだと回顧している。一方、裁判官においては日米交渉の出発点で提示された日米諒解案での「八紘一宇」の訳語である universal brotherhood が印象深かったかもしれない。

 

 こうした経緯を鑑(かんが)みれば、「八紘一宇」が国策に利用された過去があったにしろ、その本義を踏まえた上で今日的な文脈で捉え直した三原議員の発言を頭から否定するのは、言論の封殺に繋(つな)がると言わざるを得まい。