佐川国税庁長官が辞任、森友問題で混乱 安倍政権に打撃

佐川国税庁長官が辞任、森友問題で混乱 安倍政権に打撃

2018/3/9 日本経済新聞

 

財務省前理財局長の佐川宣寿国税庁長官(60)が9日、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる混乱の責任を取り辞任した。政府は同日の持ち回り閣議で了承した。佐川氏は売却契約を結んだ際の理財局長。売却手続きに問題はなく、交渉記録も廃棄したと国会で答弁し、批判を受けていた。疑惑が解明されないなかでの辞任は、安倍政権への打撃となる。


麻生太郎財務相は9日夜、財務省内で記者会見し「国有財産行政に関する信頼を損なった」として、減給20%・3カ月の懲戒処分を下したと明らかにした。国税庁長官の職務は藤井健志国税庁次長が代行する。

佐川氏も記者団に辞任の理由を説明。(1)国会審議の混乱を招いた(2)行政文書の管理状況にさまざまな指摘を受けた(3)国有地売却に関する決裁文書の国会提出時の担当局長だった――を挙げた。

麻生氏は会見で佐川氏を国税庁長官に任命したことについて「適材だった」と強調。自身の進退を問われると「考えているわけではない」と答えた。安倍晋三首相も佐川氏の国税庁長官起用に関して過去に「適材適所の考え方に基づいた」と述べていた。

佐川氏は国有地を8億円強値引きして売却した問題に関して昨年「(交渉記録は)全て廃棄した」と説明。手続きも問題はないと述べたが、財務省の内部文書が見つかり、野党が虚偽答弁と非難していた。2017年7月には国税庁長官に就任。就任記者会見を開かず、批判を受けていた。

9日には森友問題の担当部署にいた近畿財務局の職員が神戸市内の自宅で死亡していたことが判明。兵庫県警は自殺と判断した。