「核廃絶は私たちから」 全米市長会議、核禁条約への歓迎を決議

核廃絶は私たちから」 全米市長会議、核禁条約への歓迎を決議

2021/10/16 朝日新聞

 

 米国内の人口3万人以上の1400を超える都市で構成する全米市長会議が、米政府に対し、1月に発効した核兵器禁止条約を歓迎し、核廃絶に向けた即時行動を求める決議を全会一致で採択した。決議は「核禁条約への反対を撤回するよう検討し、核兵器のない世界の実現に向けた合意形成への前向きなステップとして歓迎するよう呼びかける」としている。

 あらゆる核兵器の開発や保有、使用などを禁じる初めての国際条約である核禁条約は56の国と地域が批准しているが、米国などの核保有国は参加していない。8月末の年次総会で採択した決議はこのほか、米国の核軍備を近代化させる計画を中止し、そうした財源をインフラ整備や貧困問題、気候危機などの対応に充てることも求めている。

 全米市長会議は2004年以降、核兵器廃絶に賛同する決議を重ねてきた。決議に法的拘束力はないが、米政府や市民への明確なメッセージとなる。他の7市と共同提案したアイオワ州デモイン市のフランク・カウニー市長らによると、決議には国際問題を扱う委員会で2人の市長が反対し、微修正。その上で20人超の市長が参加する年次総会役員会で全会一致による採択がなされたという。

 カウニー氏は朝日新聞のオンラインのインタビューに「米ロや米中間の緊張は著しく高まり、核兵器を使った衝突が起こる可能性がある」との懸念を示す。一方で「ほとんどの米国人は核禁条約を認識すらしておらず、核兵器の脅威を理解しているとも思えない」と指摘。決議の意義について「最も大きな声を上げられるのは、市民の日常生活に一番近い地方自治体。新型コロナとの戦いでも最前線に立っている。核問題も地方自治体が立ち上がるべきだ」と述べた。決議を受け、各市長らは地元選出の上院・下院議員や連邦政府に働きかけるという。