66年前の話     斎藤美奈子

66年前の話     斎藤美奈子
 
2021/9/15 東京新聞
 
 
 10日のTBS「ひるおび!」での八代英輝弁護士の発言が波紋を広げてこ子いる。「共産党は暴力的な除な革命というのを、党の美要綱として廃止してませんから。よくそういうところと組もうという話になるなと」。これが問題になった八代発言だ。
 「八代さんは六全協を知らないのかな」と思った人もいるのではないだろうか。六全協とは1955年の日本共産党第6回全国協議会の略称で、このとき同党は過去の武装闘争路線を放棄した。
 64年に芥川賞を受賞した柴田翔『されどわれらが日々ー』は六全協をモチーフにした小説。党の決定に不服な若者たちから派生したのがいわゆる新左翼である。
 すなわちこれは66年に及ぶ歴史を無視した妄言で、もちろん現在の党の綱領にもそんなことは書かれていない。
 13日、八代氏は「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」と弁明した。典拠は昨年11月ないし今年6月の、鈴木宗男議員の質問主意書に対する答弁書(「共産党破防法に基づく調査対象団体」「暴力革命の方針に変更はないものと認識している」)だろうか。政府の歴史音痴がデマと不当な評価の元凶だとしたら、もっと由々しき話。
 ことは公党の名誉に関わる。公正を期すためにもTBSは共産党及び野党共闘の幹部がしっかり話せる機会をつくるべきだろう。(文芸評論家)