赤木ファイル原本を提出へ 大阪地裁での進行協議で国側が表明
毎日新聞 2021/7/16 17:11(最終更新 7/16 22:31) 714文字
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻が国などに損害賠償を求めた訴訟で、非公開の進行協議が16日、大阪地裁(中尾彰裁判長)であった。国側は約1週間後をめどに「赤木ファイル」の原本を地裁に提出する方針を表明した。妻側の代理人弁護士が明らかにした。国は6月、地裁と妻側に対し、赤木さんが改ざんの経緯を残したファイルの写しを提出。妻側はこの日の協議で「存在するはずの資料やメールが一部欠落し、確認が必要だ」と訴え、国側が原本の提出に応じる考えを示した。地裁が原本を確認し、9月に予定される次回協議で妻側に結果を伝える段取りになるという。
開示されたファイルには、改ざんの経緯をまとめた備忘記録や本省と財務局間で交わされた約40通のメールがとじられ、佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)の「直接指示」を示す内容も含まれていた。
妻側は、一部のメール本文に添付したと記載があった「局長説明時に使用した資料」などが含まれていないとして、「写しは不自然な部分があり、信用性に強い疑義が生じている」と主張。国側は「赤木さんが保存しなかったということではないか」と反論し、財務省に保管中の原本の提出に応じる意向を示したという。
妻側はマスキング処理(黒塗り)された財務省職員らの名前も明らかにするように求めたが、国側は「個人情報に関わる」と拒否したとされる。↵協議後に記者会見を開いた妻の雅子さん(50)は「もっと速やかに原本を出してもらいたかった。夫は誰からも守られずに亡くなったのに、改ざんに関わった職員が守られるのはおかしい」と話した。【山本康介】