香港民主派の一斉摘発、元立法会議員の東大院生も逮捕
2021/1/7 朝日新聞
香港警察が6日、香港国家安全維持法(国安法)施行後、最大規模となる一斉摘発に踏み切ったことで、「一国二制度」の約束をなげうち、民主派の徹底排除を進める香港政府と中国共産党政権の姿勢が一層鮮明になった。国際社会が批判を強めても、共産党指導部は「香港の安定を守る」として一歩も引かない構えだ。
香港民主派元議員ら約50人一斉逮捕 国安法違反容疑
昨年6月の国安法施行以降、これまでに同法違反の容疑で逮捕されたのは合わせて約30人だった。今回、それを大きく上回る53人を一斉に逮捕したことは、今年9月に予定される立法会(議会)選挙で、民主派が再び立法会に進出する芽を徹底して摘もうとする政権側の意図が透ける。一斉逮捕を受けて会見した民主派幹部は、「国安法は(為政者が敵対勢力を弾圧する)白色テロを生み、恐れさせているだけだ」と批判し、立法会選に向け団結を呼びかけた。だが、活動を担ってきた多くの中枢を失った影響は小さくない。議員のほか、2014年の民主化運動「雨傘運動」のリーダーの一人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や日本語で香港情勢を発信してきた周庭(アグネス・チョウ)氏も昨年12月、未許可デモを組織した罪で実刑判決を受けるなど有力活動家らの収監が相次いでいる。
一連の締め付けは、共産党政権の意向に沿うものだ。習近平(シーチンピン)国家主席ら党指導部は昨年10月の第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で香港について、「国家安全を守る法制度と執行を徹底させ、安定を維持する」との方針を採択。国際社会からの非難も「外部勢力が香港問題に介入することを断固阻止する」と、はねつける姿勢を明確にした。