キルギス議会が新首相選出、「統治者不在」解消探る
2020/10/10 日本経済新聞
【モスクワ=小川知世】議会選の結果を巡り政治危機が続く中央アジア・キルギスの議会は10日に臨時会合を開き、野党指導者のジャパロフ氏を新首相に選出した。選挙後の抗議を受け、ジェエンベコフ大統領は新内閣の承認後に辞任の用意があると表明していた。首相の任命で「統治者不在」の状態が解消に向かう可能性が出てきた。
インタファクス通信によると、ジャパロフ新首相はジェエンベコフ大統領と複数回にわたって協議したと10日に記者団に明らかにした。大統領は2~3日以内に辞任すると話したという。ジャパロフ新首相は政権の責任を追及する気はないとも述べ、さらなる対立の激化は避けたい考えを示した。
政権は混乱の収拾を急いでいた。ジェエンベコフ大統領は9日に首都ビシケクに非常事態を宣言し、治安維持へ軍出動を命じた。10日には治安当局が騒乱を組織した疑いで、アタムバエフ前大統領を拘束した。前大統領は選挙後の野党勢力の抗議によって服役中の施設から解放されたばかりだった。
ジャパロフ新首相は2013年に違法な集会を組織し、知事を人質に取ったとして実刑判決を受けた。4日の議会選後、政権側の不正を訴えて広がった抗議デモで収監先から解放された。野党勢力は6日にボロノフ首相の退任を決定し、代行にジャパロフ氏を任命していた。