洋上風力発電の先進国・デンマークに本社を置く再生可能エネルギー開発会社「コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ」(CIP)の事業会社が、石狩市と小樽市にまたがる石狩湾沖で、総出力100万キロワットの洋上風力建設を計画していることが6日、分かった。欧州系企業による道内での洋上風力計画が明らかになるのは初めて。実現すれば、旧式の石炭火力発電所である苫東厚真火発(胆振管内厚真町)1号機と同2号機(計95万キロワット)を上回る規模となる。
CIPは約1兆2千億円のファンドを運用し、世界各地の再生エネ開発に投資。洋上風力では、これまでドイツや英国で40万~60万キロワットを開発したほか、アジアでは台湾で60万キロワットの施設を建設中だ。CIPは昨年4月、日本の中でも洋上風力の適地とされる北海道での開発を目的に、日本の事業会社「シーアイ北海道合同会社」(東京)を設立した。
同社は6日、建設に必要な環境影響評価の手続きを始めた。石狩湾沖の水深60メートル以下で、陸上から約3キロメートル離れた範囲を事業想定区域(約1400平方キロメートル)に設定。風車を海底に固定する「着床式」で、1基当たり5千~1万5千キロワットの風車を70基弱~200基設ける計画だ。今後、海底調査や漁業関係者との調整などを行い、具体的な設置場所を絞る。総事業費は未定。
同社は、国が洋上風力を優先整備する「促進区域」に石狩湾沖が指定されることを参入の条件としており、着工や稼働時期については「できるだけ早くとしか言えない」としている。
道内では昨年から、石狩湾沖や檜山沖で100万キロワット規模の洋上風力計画が相次ぐが、これまでは北海道電力が「送電線の空き容量はほぼゼロ」とし、その実現性は不透明だった。しかし経済産業省は3日、二酸化炭素を多く排出する非効率な旧式の石炭火発を休廃止していく方針を表明。送電線に火力よりも再生エネを優先して流す仕組みづくりにも着手するとしている。(佐々木馨斗)