コロナ「人為説」否定多く ウイルス全容解明には時間

コロナ「人為説」否定多く ウイルス全容解明には時間

2020/4/25 日本経済新聞

 

 新型コロナのウイルスは世界で数多く採取され、ゲノム解析も進む。だが、どのようにして人どうしの間での感染力を高めたのか、今後どんな変異が起き得るのかを知るには、中国で最初に感染例が出た当時のウイルスまで遡る必要がある。
多くの研究者が頼りにするのが、中国のグループが1月に発表した初期段階のウイルスのゲノム解析データだ。中国に端を発し、2002~03年に広がった重症急性呼吸器症候群SARS)の時と異なり「中国は素早くデータを開示した」と絶賛された。
安価で迅速なゲノム解析が可能な装置が急速に普及し、たんぱく質の立体構造を調べる技術も進んだことが、研究の加速に役立っている。中国がデータを開示するとすぐに薬やワクチンの開発が各国で始まり、次々に候補が見つかり出した。
だが、データ交換はあくまで科学者間の信頼のうえに成り立っている。もし中国が別のゲノム解析データを隠していたら多くの研究の前提が崩れる可能性すらある。
新型コロナが現れてから世界の論文は急増し、米国の公共データベースによれば1月からの累計で約6000本に達した。「平時」と異なり、多くは特例措置として厳しい査読を免除して公開されている。これから再現試験や評価を重ねて初めてゆらぎないデータが得られ、ウイルスの本性や対処法が見えてくる。