自民改憲案巡り札幌で討論 石破氏・山尾氏・仁比氏

自民改憲案巡り札幌で討論 石破氏・山尾氏・仁比氏

01/13 北海道新聞



 憲法問題に詳しい与野党国会議員3人の討論会「『憲法改正問題』を真剣に考える。」(札幌弁護士会主催)が12日、札幌市内で開かれた。自民党衆院議員の石破茂氏、立憲民主党衆院議員の山尾志桜里氏、共産党参院議員の仁比聡平氏憲法9条自衛隊を明記した自民党改憲推進本部の9条改憲案を巡り、立場の違う論客が意見を戦わせた。

 石破氏「(戦力不保持を定めた)9条2項の下に自衛隊がある。ごまかしは許されない。2項を削除する2012年の自民党改憲草案が、今も党議決定だ」

 山尾氏「自衛権の範囲を個別的自衛権に限るような要件を、憲法に書き込む考えもあるのではないか」

 仁比氏「9条改憲憲法の平和的理念に逆行する」

 かでる2・7大ホール。国会の憲法審査会の幹事や委員を務める3氏の議論を市民700人が見守った。

 自民党改憲推進本部は昨年3月、憲法9条の後に「必要な自衛」のための実力組織として自衛隊を明記する「9条の2」を新設する案を公表。9条2項の戦力不保持や交戦権否認などの規定を維持しつつ「必要な自衛の措置をとることを妨げない」としている。

 この改憲案について、石破氏は「9条2項に書かれたことを、次の条文(9条の2)でひっくり返すというのは、憲法としてふさわしいのか。かなり違和感を感じている」と語った。

 山尾氏は「9条があっても集団的自衛権を認める安保関連法が成立した。『憲法を守れ』だけでは限界」と強調。「憲法自衛権自衛隊が書かれてないから、『解釈で変えていい』という考えを許さないために、自衛隊にどこまでさせるかなどを憲法に書き、統制をかける必要がある」と独自の「改憲案」を示した。

 安倍晋三首相が「自衛隊を明記するだけ」「任務や権限は変わらない」としていることについて、石破氏は「本当に何も変わらないのか。首相に聞きたくても、『総理だから』と答弁しない」と指摘。仁比氏も「集団的自衛権行使が認められた自衛隊を追認することになり、9条の理念が根本から変わる」と批判した。

 終了後、札幌市北区の大学2年佐藤亮平さん(20)は「9条は守るべきだが、石破さんの『感情論でなく理性で判断を』との話はなるほどと思った」。同市白石区の看護師益子美登里さん(43)は「人の命を守るために『戦争をしない』と言う仁比さんが最も私たちの感覚に近い」と話した。一方、改憲に否定的だったという同市南区の団体職員男性(62)は「石破さんの話を聞き、改憲で日本への攻撃に備えることも必要かと思い始めた」と語った。(森貴子、荒谷健一郎、松下文音