森友記録隠蔽に怒りと失望「財務省信じられない」

森友記録隠蔽に怒りと失望「財務省信じられない」

社会2018/5/24 日本経済新聞




 国会答弁と辻つまを合わせるため、交渉記録を廃棄した――。財務省は23日、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る交渉記録を国会に提出。「廃棄した」とした佐川宣寿・前国税庁長官の国会答弁と整合性を図る目的で理財局職員が交渉記録を廃棄したと認め、謝罪した。決裁文書の改ざんに続く隠蔽行為の発覚に、関係者からは怒りと失望の声が上がった。



 佐川氏が国会で「残っていない」と答弁した交渉記録だが、この日提出された文書は計約950ページ。財務省近畿財務局が学園側や自治体とやりとりした内容に加え、安倍昭恵首相夫人付の職員や国会議員の秘書とのやり取りも記されていた。

 衆院予算委員会の理事懇談会に出席した理財局の富山一成次長は「昨年2月下旬以降、国会答弁との関係で、決裁文書を書き換えていたのと同様に、当時保管されていた交渉記録の廃棄を進めていた」と説明。「深くおわびする」と陳謝した。

 記録はなぜ廃棄されたのか。財務省OBの田中秀明・明治大教授は「国会答弁と辻つまを合わせて証拠さえ廃棄すれば、何事もなかったことにできると考えたのだろう」と推測。「財務省職員にとって政治家との接触は日常茶飯事。保存が義務付けられた公文書と違い、メモ程度の扱いの交渉記録を捨てることに罪悪感はなかったのでは」とみる。

 官邸側から廃棄を指示されたとは考えにくいといい「霞が関の官僚は官邸のイエスマン。保身のために忖度(そんたく)したとしても不思議ではない」と受け止めた。

 財務省の男性幹部は「最初から交渉記録を出していればよかった。安倍晋三首相や昭恵夫人の関与をもみ消そうとしたと思われても仕方ない」と悔やむ。近畿財務局では3月に男性職員が自殺しており「職員が亡くなっていることを忘れてはいけない」。

 ある国税関係者は「(廃棄などを)止める人はいなかったのか。何がそこまで追い詰めたのか。理由が知りたい」と語る。やはり加計学園問題で文書管理が問題になった文部科学省からは「客観的事実や記録はできるだけ早く表に出さないと行政全体の信頼が揺らぐ。日ごろから公文書管理への意識を高めないと、大きな問題に発展しかねない」(幹部)との声が聞かれた。

 廃棄されたとしていた記録が職員の「手控え」として残っていたことへの波紋も広がる。同財務局の職員を背任容疑で告発した大阪府豊中市木村真市議は「(記録は)やっぱり存在したんだ、という諦めに似た気持ち。財務省の言い分はもう何も信じられない」と言う。「交渉記録を精査し、財務省側の答弁との食い違いを徹底的に検証すべきだ」と話した。

 公文書変造や公用文書等毀棄などの容疑で佐川氏や同省職員らの告発状を出した上脇博之・神戸学院大教授は「900ページを超える交渉記録が手控えとして残っていることは不自然。廃棄を指示された職場でも不正行為に当たるという認識があり、自分の身を守るため保存していた職員がいるのでは」と指摘した。