愛媛県知事、「面会記憶ない」に反証 柳瀬氏は釈明
05/12 03:25 更新 北海道新聞
学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、愛媛県の中村時広知事は11日、柳瀬唯夫元首相秘書官が10日の参考人質疑で県職員と面会した記憶はないと主張したことを批判し、柳瀬氏への反証を提示した。両者の説明は大きく食い違うが、柳瀬氏は11日、経済産業省内で記者団に「覚えている限り申し上げたつもりだ」と釈明。安倍晋三首相はテレビ番組で、柳瀬氏の説明を「一つ一つ記憶を呼び起こして誠実に答えた」と評価した。
野党は柳瀬氏の発言に疑義があるとして、週明けの14日、衆参予算委員会の集中審議で首相に矛盾点を突き付ける構えだ。
柳瀬氏は10日、2015年4月2日に官邸を訪れた加計学園関係者ら10人近くと面会したと認めた。学園関係者がいた記憶は一貫しているとし「メインテーブルに座り、大半を話していた」と述べた。ただ県と同県今治市の職員が同席したかどうかは「覚えていない」とし「名刺交換を心掛けているが、県や市のものはなかった」と説明。後方に座り、メインスピーカーでない数人の中にいた可能性はあるとした。
これに対し、中村知事は県職員3人を含む6人が柳瀬氏ら3人と首相官邸で面会し、県職員はメインテーブルに座っていたと強調。「県の状況をしっかりと発言している」「子供の使いで行っているわけではない」と指摘し、物証として柳瀬氏の名刺も公開した。
両者は、柳瀬氏が「首相案件」と発言したとする県職員作成文書の信頼性を巡っても対立。
柳瀬氏は国会で「個人の備忘録が、あちこちに配られて信用力が高まるというのは変だ」と強調。「メモを取らなければ、取った方が後で(やりとりを)こうだ、と言えるのはおかしい」と不快感を示した。
中村知事は「職員は受けた発言をありのままに書いている」と反論。「一部の発言は県の信頼に関わるもので非常に残念」と批判し「職員には地方公務員としてのプライドがあることに思いをはせてほしい」と訴えた。
立憲民主党の逢坂誠二衆院予算委野党筆頭理事は11日、自民党の菅原一秀与党筆頭理事と国会内で会談し、14日の集中審議に中村知事を参考人招致するよう要求。菅原氏は、知事は当事者でないと拒否した。