籠池前理事長「逐一、昭恵氏に報告」 野党議員が接見
「森友学園」の問題をめぐり、野党3党の国会議員が大阪拘置所で勾留されている籠池前理事長と接見し、籠池氏が国有地の取り引きについて「逐一、安倍総理大臣夫人の昭恵氏には状況を報告していた」などと述べたことを明らかにしました。
森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた問題をめぐり、立憲民主党、希望の党、共産党の国会議員3人が23日午後、大阪拘置所で勾留されている森友学園の籠池前理事長とおよそ45分間接見し、このあと希望の党の今井国会対策委員長代理が記者団に内容を説明しました。
それによりますと、書き換え前の文書に森友学園側から「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」と発言があったと記述されていたことについて、籠池氏は「確かにそういうふうにおっしゃっていた。間違いない」と述べたということです。
また籠池氏は国有地の取り引きについて「貸し付けの時も含めて、逐一、昭恵氏には、毎回ではないが何回かまとめて『こういう状況になっています』ということを報告していた」と述べたということです。
さらに籠池氏は「当然、近畿財務局も財務省理財局の人も、安倍総理大臣夫人と強い関係にあることは承知のうえでいろいろやっていただいたのではないか。全体的に『後ろには安倍総理大臣夫人がいる』ということを役所の皆さんは認識していたのではないか」と述べたということです。
一方、記者団が「籠池氏は文書の改ざん問題に言及したか」と質問したのに対し、今井氏は「全く知らないというか、逆に『びっくりした』と籠池氏は言っていた」と述べました。
今井氏は今回の接見を受けて「昭恵氏はかなり取り引きのことを知っていたのではないか、という印象を受けた。籠池氏の言っていることがどれだけ事実かわからないので、昭恵氏に話を聞かなければいけない。昭恵氏付きの職員だった谷氏も含め話を聞きたい」と述べました。
立民 福山幹事長「価格は財務省から提示と籠池前理事長」
立憲民主党の福山幹事長は記者会見で、「森友学園」の問題をめぐり、大阪拘置所に勾留されている籠池前理事長が、接見した野党の国会議員に対し、国有地の取り引きについて、「値引きをしたあとの価格は、『森友学園』側に、当時の代理人の弁護士を通じて、財務省から提示があった」と述べたことを明らかにしました。
また、籠池氏は、「安倍総理大臣夫人の昭恵氏から、『何かできることはありますか』と言われたので、『敷地の前で写真を撮ってください』と申し上げて、写真撮影になった。この日の夜は食事もご一緒している」と述べたということです。
さらに、籠池氏は、「昭恵氏付きだった谷氏は、本件について、逐一、昭恵氏に報告していたと思うし、谷氏は、昭恵氏の意向を受けて面倒を見てくれていると感じていた」と述べたということです。
安倍首相 昭恵氏発言の記述を否定
書き換え前の文書に、森友学園側から「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を、現地に案内し、『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」と発言があったと記述されていたことについて、安倍総理大臣は今月14日の参議院予算委員会で「妻に確認したが『そんなことは言っていない』ということだった」と述べ、否定しました。
さらに「書き換え前の文書を見ていただければ一目瞭然で、私も妻も一切関わっていないのはむしろ明白になっている。妻の記述についても、妻が言っているわけではなく、籠池氏が言っているということが書かれている」と述べ、みずからや昭恵氏は関わっていないと強調しました。
自民柴山「真相究明には疑問」
自民党の柴山筆頭副幹事長は、NHKの取材に対し、「詐欺事件で勾留されている籠池氏への一方的な聞き取りが、どの程度、真相究明に役立つか、極めて疑問だ。書き換え前の文書に、安倍総理大臣夫人の昭恵氏についての記載はあるが、籠池氏が主張しているというだけであり、国会審議に影響を与えるとは思わない。昭恵氏が明示的に取引に不当な圧力をかけた証拠は出てきていないと思うので、昭恵氏の証人喚問に応じる必要は現時点ではない」と述べました。
立民 枝野代表「精緻に詰めて審議に」
立憲民主党の枝野代表は、東京都内で記者団に対し、「詳細な報告を受けておらず、籠池氏の話だけで、一方的に真実だと受け止めることは、今までの経緯からもできないので、籠池氏から聞いたことも含めて担当者が精緻に詰めた上で、来週以降の審議にそれぞれがいかしていくことになる」と述べました。