02/01 北海道新聞
学校法人「森友学園」への国有地売却問題で2015年11月、財務省理財局の国有財産審理室長だった田村嘉啓氏が安倍昭恵首相夫人付の政府職員から照会を受けた際、「森友学園に関係しての照会であったことは認識していたと思う」とする見解を、同省が共産党の宮本岳志衆院議員に文書で示していたことが31日、分かった。
同省の佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)は昨年3、5月に国会で、照会は「(国有地賃料についての)制度に関する一般的な問い合わせ」などと説明。森友学園関連と田村氏が認識していたかどうかは「私は承知していない」と明言せず、あいまいなままだった。
宮本氏は「財務省が早い時期から森友学園と昭恵夫人のつながりを意識していたことが分かった。夫人の存在が、国有地売却の際の値引き対応につながったのではないか」と指摘している。
昭恵夫人は15年9月から昨年2月まで、学園が大阪府豊中市の国有地で開校を目指した小学校の名誉校長に就いていた。
学園は15年5月、国有地について国と定期借地契約を締結。学園前理事長の籠池泰典被告=詐欺罪などで起訴=は賃料値下げなどを求める同年10月26日消印の手紙を、昭恵夫人付の政府職員を務めていた谷査恵子氏に送った。谷氏は国有地の管理や処分を担う田村氏に照会し、その結果を同年11月、籠池被告にファクスで返信した。
籠池被告が昨年3月の国会の証人喚問で経緯を明らかにし、菅義偉官房長官はファクスの内容について「ゼロ回答だ」として問題はないとの認識を示している。