関東大震災の朝鮮人虐殺、有無を明言せず 小池都知事

関東大震災朝鮮人虐殺、有無を明言せず 小池都知事

2017/9/2 朝日新聞





 1日午後の小池百合子都知事の定例記者会見で、関東大震災で虐殺された朝鮮人らの追悼式への追悼文送付をやめたことをめぐるやりとりは以下の通り。

 ――慰霊大法要に送った追悼文でも虐殺に言及がない。理由は。

 「法要に副知事が代理出席した。(副知事が代読した)追悼文で私は知事として、大震災で犠牲となられた全ての方々へ哀悼の意を表した。それが全てだ」

 ――追悼文を中止したことで、虐殺を否定する主張を後押しする影響もあったのではないか。

 「それぞれの受け止め方。どういう反応になっているのかは、それぞれだと思っている」

 ――虐殺の事実があったという認識か。

 「いろいろな歴史の書の中で述べられている。様々な見方がある。そういった一つひとつの見方もさることながら、私は全ての方々への哀悼の意を述べるという気持ちだ」

 ――虐殺があったか、なかったかという認識は。

 「いろんな史事として書かれている。どれがどういうのかというのは、歴史家がひもとくものではないか」

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 〈五野井郁夫・高千穂大教授(政治学)の話〉 関東大震災での朝鮮人虐殺がかつて起きた都市の首長としては「虐殺は許されないこと。今後は絶対起きないようにしなければならない」と答えるのが当然だ。しかし小池知事は「さまざまな見方がある」「歴史家がひもとくもの」と言及を避けた。米国での白人至上主義者らの衝突事件で「両者に非がある」と言って強い批判を浴びたトランプ大統領の発言と同様、差別を許すメッセージともとられかねない。東京五輪も控え、ダイバーシティー(多様性)を尊重する五輪精神にも反する。

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 〈関東大震災朝鮮人虐殺〉 1923(大正12)年9月1日、関東地方でマグニチュード7・9の巨大地震が起き、火災などのため約10万5千人が死亡したとみられる。「朝鮮人が略奪や放火をした」「井戸に毒を入れた」などの流言が広まり、各地の住民らが結成した「自警団」が朝鮮人らを殺害する事件が多発した。

 政府の中央防災会議が2009年までにまとめた報告書では「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加え殺害する、虐殺という表現が妥当する例が多かった。対象は朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人(日本人)も被害にあった」と書かれている。犠牲者数は震災の全死者のうち「1〜数%」と推定。千〜数千人にあたる。地震直後の在日朝鮮人らの調査では「約6600人」などとする数字もある。

 市民団体主催で毎年9月1日に開かれる朝鮮人犠牲者追悼式には、石原慎太郎猪瀬直樹舛添要一の各氏ら歴代都知事が追悼文を寄せてきた。小池知事は昨年の追悼文では「多くの在日朝鮮人の方々が、いわれのない被害を受け、犠牲になられた。わが国の歴史の中でもまれに見る、誠に痛ましい出来事でした。このような不幸な出来事を二度と繰り返すことなく、世代を超えて語り継いでいかねばなりません」などと書いていた。