PCデータ復元、国有地売却交渉を究明 「森友」記録、電子鑑識へ
学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)をめぐる補助金詐取事件で、国有地を不当に安い価格で売却したとして財務省近畿財務局職員への背任容疑などでも捜査している大阪地検特捜部が、パソコンに残るデータを解析する技術「デジタルフォレンジック」(DF)を使い、売却の交渉記録を電子鑑識する方向で検討していることが21日、関係者への取材で分かった。売却をめぐって政権の関与や行政の忖度(そんたく)を疑う声が絶えないことから、検察当局はDFを使った真相究明が不可欠との見方を強めているもようだ。
関係者によると、背任容疑での捜査は、近畿財務局職員が国に損害を与えようとする意思を持っていたかなどを立証する必要があり、立件には高いハードルがあるとみられている。起訴を見送った場合でも国民の中から選ばれた検察審査員がその是非を審査する検察審査会の審査対象となる可能性が高い。売却の交渉記録について財務省は、支払いがまだ終わっていないにもかかわらず、既に「廃棄した」とするなど国民の疑念が高まっており、検察当局は立件の可否判断にはDFによる交渉記録の電子鑑識が不可欠とみているもようだ。
問題の国有地は、評価額の9億5600万円から、ごみ撤去費約8億円を値引きした1億3400万円で売却された。財務省は「値引き交渉は一切なかった」と説明したが、その後、学園側が交渉時に値引きを要求していたことが判明するなど、財務省側の説明に疑義が生じている。
背任と証拠隠滅罪で財務省職員らを告発した弁護士らは、近畿財務局と学園の交渉記録の復元なども求めていた。
事件をめぐっては、詐欺と詐欺未遂の容疑で21日、学園前理事長の籠池(かごいけ)泰典容疑者(64)と妻の諄子(じゅんこ)容疑者(60)=いずれも別の詐欺罪で起訴=が再逮捕されている。(産経新聞17年8月23日)