白血病発症で労災認定の元作業員 東電と九電を損賠提訴へ
(2016年11月17日 東京新聞 朝刊)から抜粋
東京電力福島第一原発事故の収束作業などで被ばくし白血病になったとして、元作業員の男性(42)=北九州市=が、東電と九州電力に計約5900万円の損害賠償を求める訴訟を、22日に東京地裁に起こす。男性は昨年十月、白血病の発症で労災認定された。
弁護団によると、男性は二次下請け会社の作業員として、2011年10月〜13年12月、福島第一や第二、九電玄海原発(佐賀県)で主に溶接などを担当。福島第一で原子炉建屋カバーなどを設置したほか、福島第二の原子炉建屋の出入り口補強工事や玄海4号機の定期点検でも作業。この間に計19.78ミリシーベルト被ばくした(原発作業員の被ばく線量基準は年間50ミリシーベルト、5年で計100ミリシーベルト以内)。
男性は14年1月、急性骨髄性白血病と診断され、抗がん剤治療などをした。昨年10月に、福島第一などでの被ばくが白血病の原因になった可能性があるとして労災を認められた。白血病で死ぬかもしれないという不安からうつ病とも診断され、今年5月に労災認定された。
弁護団は、東電や九電は現場施設管理者として作業員の安全を守る責任があったが、十分な被ばく防止対策を怠ったと主張。男性は白血病になる遺伝的要因などはなく、労災認定の専門家会議でも原発作業での被ばく以外の原因は認められなかったとしている。
東電は「詳細は承知していないが、訴状が送達され次第、適宜適切に対応する」とコメント。九電は「提訴について承知しておらず、現時点ではコメントのしようがありません」とした。