沖縄戦71年「慰霊の日」 祖父の思い伝える 小6の仲間さん朗読

沖縄戦71年「慰霊の日」 祖父の思い伝える 小6の仲間さん朗読
2016年6月23日  東京新聞夕刊





 希望を込めて平和の願いを蝉とともに叫ぼう−。沖縄県金武(きん)町立金武小6年の仲間里咲(りさ)さん(11)は、23日の沖縄全戦没者追悼式で平和の詩「平和ぬ世界どぅ大切」を朗読した。沖縄戦が終わった季節に響くせみ時雨とともに平和の尊さを訴えたい、との思いを込めた。

 沖縄戦を描いた絵本に「セミの鳴き声は、戦没者の悲しみを叫んでいる」という趣旨の一文があったことを、ふと思い出した。命の短いセミは「戦争を知らない私たちに、平和の大切さを教えてくれているのでは」と感じ、今回の詩を作った。

 1年生の頃、沖縄戦について伝えるテレビ番組を見ていた祖父が、左腕を押さえているのに気づいた。祖父から「古傷だよ」と聞かされた。戦禍を思い出すと、痛むらしかった。

 太平洋戦争中、旧日本海軍に所属した祖父は、戦地で友が撃たれ、軍艦が沈む場面も目にした。ぽつりぽつりと語る祖父の姿は、仲間さんの脳裏に焼き付いている。祖父はその後まもなく、91歳で世を去った。「もっと祖父に話を聞きたかった」と、悔いも感じる。

 仲間さんが暮らす沖縄には、米軍基地が広がる。米軍の輸送機やヘリコプターなどが、頻繁に空を飛び交う。「今は本当に、平和なのかな」。将来は、教え子に戦争の悲惨さを伝えられる教師になるのが夢だ。

◆平和の詩全文 

「ミーンミーン」

今年も蝉(せみ)の鳴く季節が来た

夏の鳴き声は

戦没者たちの魂のように

悲しみを訴えているということを

耳にしたような気がする

戦争で帰らぬ人となった人の魂が

蝉にやどりついているのだろうか

「ミーンミーン」

今年も鳴き続けることだろう

「おじぃどうしたの?」

左うでをおさえる祖父に問う

祖父の視線を追う私

テレビでは、戦争の映像が流れている

しばらくの沈黙のあと

祖父が重たい口を開いた

「おじぃは海軍にいたんだよ」

おどろく私をよそに

「空からの弾が左うでに当たってしまったんだよ」

ひとりごとのようにつぶやく祖父の姿を

今でも覚えている

戦争のことを思い出すと痛むらしい

ズキンズキンと…

祖父の心の中では

戦争がまだ続いているのか

今は亡き祖父

この蝉の鳴き声を

空のかなたで聞いているのか

死者の魂のように思っているのだろうか

しかし私は思う

戦没者の悲しみを鳴き叫ぶ蝉の声ではないと

平和を願い鳴き続けている蝉の声だと

大きな空に向かって飛び

平和の素晴らしさ尊さを

私達に知らせているのだと

人は空に手をのばし

希望を込めて平和の願いを蝉とともに叫ぼう

「ミーンミーン」

「平和ぬ世界どぅ大切」

 ※平和ぬ世界どぅ大切=平和な世界が大切

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沖縄全戦没者追悼式で平和の詩を朗読する仲間里咲さん=23日、沖縄県糸満市平和祈念公園