山形国際映画祭 コスタ、グスマン監督が受賞

山形国際映画祭 コスタ、グスマン監督が受賞

2015/10/14 webDICE



映画『真珠のボタン』より © Atacama Productions, Valdivia Film, Mediapro, France 3 Cinema - 2015

2年に1度開催され、今年は10月8日から行われていた「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」の受賞作品が10月14日、発表された。

応募総数1,196本から選ばれたインターナショナル・コンペティションの15作品から、大賞となるロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞したのは、ポルトガルペドロ・コスタ監督による『ホース・マネー(英語題)』。今作はコスタ監督が2006年の『コロッサル・ユース』に続きリスボン郊外のスラム街を舞台に老移民者ヴェントゥーラを描く作品で、コスタ監督は受賞にあたってのスピーチで「この喜びをシャンタル・アケルマンと分かち合いたい」と、10月5日に亡くなったベルギーの映画作家に追悼の意を表した。


HorseMoney

ペドロ・コスタ監督『ホース・マネー(英語題)』

そして最優秀賞となる山形市長賞は、チリのパトリシオ・グスマン監督の『真珠のボタン』が受賞。チリの先住民大量虐殺とピノチェト独裁政権下で海に投げられた犠牲者たちの歴史を交錯させて描いている。グスマン監督は2011年に前作『光のノスタルジア』で最優秀賞を獲得したのに続いての栄誉となった。代理で授賞式に登壇したグスマン監督と同世代のカルロス・フローレス監督は、「チリのドキュメンタリー作家を代表して感謝します」と語った。

『真珠のボタン』『光のノスタルジア』はともに現在、岩波ホールで公開中。

優秀賞には、オサーマ・モハンメド、ウィアーム・シマヴ・ベデルカーン監督の『銀の水 ― シリア・セルフポートレート』とイラクアッバース・ファーディル監督の『祖国 ― イラク零年』が受賞。特別賞は、アルゼンチンのフリア・ペッシェ監督の『女たち、彼女たち』が受賞した。

コンペティション部門の審査員であるトム・アンダーセン監督は、講評のなかで「今年はフィクションとノンフィクションの区別に問いを投げかける作品が多かった。しかしいずれの作品も、真実を追い求めようとする気持ちにより生まれている、ということに変わりはない」と解説した。

オーディエンスによって選ばれる市民賞には、アッバース・ファーディル監督の『祖国 ― イラク零年』が優秀賞とともに選ばれた。『祖国 ― イラク零年』は、イラク戦争開戦前夜にバグダッドに暮らす大家族の2年間を追った5時間34分の作品。アッバース・ファーディルは授賞式の壇上で、今作が日本の小津安二郎監督から強い影響を受けたと明かした。

新しい才能を発掘し応援する目的の日本映画監督協会賞には、韓国のアオリ監督の『私の非情な家』が選ばれた。

アジアのドキュメンタリー作家を応援するアジア千波万波部門については、もっとも可能性のある作品に送られる小川紳介賞には、マーヤ・アブドゥル=マラク監督の『たむろする男たち』が選ばれた。特別賞には、バングラデシュのフマイラ・ビルキス監督『わたしはまだデリーを見ていない』、日本の小田香監督の『鉱(あらがね)』、イランのカウェー・マザーヘリー監督『ミーナーについてのお話』、韓国のイギル・ボラ監督『きらめく拍手の音』の4作が受賞。同部門奨励賞には、日本の奥間勝也監督の『ラダック それぞれの物語』とシンガポールのダニエル・フイ監督『蛇の皮』が受賞した。




■インターナショナル・コンペティション

ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)
『ホース・マネー(英語題)』ペドロ・コスタ監督

山形市長賞(最優秀賞)
『真珠のボタン』パトリシオ・グスマン監督

優秀賞
『銀の水 ― シリア・セルフポートレート
オサーマ・モハンメド、ウィアーム・シマヴ・ベデルカーン監督
『祖国 ― イラク零年』アッバース・ファーディル監督

特別賞
『女たち、彼女たち』フリア・ペッシェ監督

■市民賞

『祖国 ― イラク零年』アッバース・ファーディル監督

日本映画監督協会

『私の非情な家』アオリ監督

■アジア千波万波

小川紳介
『たむろする男たち』マーヤ・アブドゥル=マラク監督

奨励賞
『ラダック それぞれの物語』奥間勝也監督
『蛇の皮』ダニエル・フイ監督

特別賞
『わたしはまだデリーを見ていない』フマイラ・ビルキス監督
『鉱(あらがね)』小田香監督
『ミーナーについてのお話』カウェー・マザーヘリー監督
『きらめく拍手の音』イギル・ボラ監督