【甘口辛口】新国立建設にちょっと待て…“はったり”バレれば諸外国に対し大恥
■5月20日 サンケイスポーツ
「なぜ約束を守らないんだ」と、国際オリンピック委員会(IOC)から厳しく追及されても仕方ない。2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の建設計画が大幅に見直されるからだ。「世界があこがれる次世代型スタジアム」と大見えを切ったが、目玉の開閉式屋根は後回し、観客席も一部仮設になるとか。
当初から懸念されていたように、建設コストが予想以上にふくらんでいるらしい。工期がかかる開閉式屋根は五輪後に先送りとなり、観客席は常設部分を約6万5000席に抑えた。サッカーやラグビーの国際大会では、最大1万5000席を仮設にして8万人収容を維持するという。
ちょっと待て、だ。屋根なしなら一部の建築家が具体案を示し、「半分以下の費用で済む」と力説した旧国立の改修で十分ではなかったか。そんな見直しは旧国立の解体前にすべきだった。スポーツは本来、太陽の下でやるもので屋根など要らないが、五輪後にコンサートなどのために屋根を付けるのでは、五輪の“レガシー”が聞いてあきれる。
下村文科相は新国立の周辺整備にかかる500億円の負担を東京都の舛添都知事に要請した。都が負担するとなると都民の税金が充てられる。しかし、都民の多くは「五輪をぜひ東京に迎えてほしい」とお願いした覚えはないだろう。都民に何も知らせないまま解体や計画変更が進められ、ツケだけ回すのは筋違いだ。
国立だけでなく、バドミントン、バスケットボール、セーリング3会場は建設中止になっている。こうなることは承知の上で“はったり”で招致を勝ち取り、あとは何をやってもいい…。外国にそんなふうに思われたら恥ずかしい。 (今村忠)