社説:大間原発の審査 脱依存の道踏み外すな

社説:大間原発の審査 脱依存の道踏み外すな

毎日新聞 2014年12月17日 02時31分





 Jパワー(電源開発)が、青森県大間町に建設している大間原発の稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。2020年12月の完成を目指すという。建設中の原発の申請は初めてで、合格すれば原則40年の稼働が可能となる。だが、それでは、多くの国民が望んでいる脱原発依存の道を踏み外してしまう。


 政府は、原発で使われた使用済み核燃料を全量再処理し、取り出したプルトニウム原発で燃やす核燃料サイクルの推進を掲げている。

 大間原発は、全炉心にウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う世界初のフルMOX商業炉で、核燃サイクルの一翼を担う。

 大間原発福田内閣時代の08年5月に着工した。福島第1原発事故を受けて工事は一時中断したが、野田内閣時代の12年10月に再開した。新規制基準に対応するため、Jパワーは想定する最大の揺れや最大の津波の高さを見直した。これらの対策工事費は約1300億円に上る。

 しかし、フルMOX原発は制御棒の利きがウラン燃料に比べて悪いなど特有の問題が指摘されている。

 規制委の田中俊一委員長も「フルMOXは世界でも実例がないから慎重に評価する」と話している。厳正な審査が行われるのは当然だ。

 そもそも、核燃料サイクル自体が技術面、安全面、コスト面でさまざまな問題に直面している。

 プルトニウムを効率よく使うための高速増殖炉開発は、原型炉「もんじゅ」がトラブルや不祥事続きで停滞している。使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)も操業延期を繰り返し、規制委の安全審査が続いている状態だ。使用済みのMOX燃料は、通常のウラン燃料に比べて取り扱いが難しい。再処理するなら六ケ所とは別の工場を造る必要があるが、議論は進んでいない。

 津軽海峡を挟み大間原発の対岸にある北海道函館市は、Jパワーと国を相手に建設差し止めなどを求める訴訟を起こした。同市は一部が原発30キロ圏に入り、避難計画などの策定義務を負った。原発を増やさないために、建設中や計画中の原発は無期限に凍結すべきだと主張している。

 福島第1原発事故を踏まえたもので、原発の再稼働に慎重な世論にも合致している。

 先の衆院選で、自民党は「原発依存度を可能な限り低減する」、公明党は「原発ゼロをめざす」との公約をそれぞれ掲げた。原発計画の見直しで大きな影響を受ける地元に配慮する必要はあるが、大間原発の容認は公約に矛盾しないか。政府は、原発依存度低下という目標を、言葉だけで終わらせてはならない。