小出氏「原子力マフィアの処罰を」

小出氏「原子力マフィアの処罰を」
脱原発 2014年9月29日14:11  NETIBより




 川内原発再稼働へ向けて地元同意をめぐって推進・反対両派の動きが活発になるなか、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教の講演会が9月26日、福岡市内で開かれた。「原発とめよう!九電本店前ひろば」が主催したもので、約300人が参加した。
 小出氏は、原発を推進してきた歴代政権、電力会社、原子力産業、ゼネコン・土建集団、学会、裁判所、マスコミを「原子力マフィア」と呼び、福島第一原発事故で誰一人責任を取っていないと批判した。「無傷のまま生き残り、福島の事故を忘れさせようと策謀している」と警告し、原発の再稼働、新設、輸出を批判した。
原子力にかけた夢は、ことごとく幻だった>
 東海村JCO事故での被曝による急性死、放射線のエネルギーの巨大さを紹介し、「生物と放射線は相容れない」と指摘。約100ミリシーベルト以下の低線量被曝でもがんの場合放射線リスクの証拠があるとするICRP(国際放射線防護委員会)2007年勧告を示して、「低線量被曝なら安全だ」という電力業界の宣伝の嘘を明らかにして、「被曝は避けないといけない。とくに子どもにとって被曝は大変危険だ」と強調した。
 小出氏は、原子力開発研究予算が国会に提出された1954年7月2日付の新聞記事を次のように紹介した。
 原子力を潜在電力として考えると、まったくとてつもないものである。しかも石炭などの資源が今後、地球上から次第に少なくなっていくことを思えば、この、エネルギーのもつ威力は人類生存に不可欠なものといってよいだろう。
 電気量は2000分の1になる。
 原子力発電には火力発電のように大工場を必要としない、大煙突も貯炭場もいらない。また、毎日石炭を運びこみ、たきがらを捨てるための鉄道もトラックもいらない。密閉式のガスタービンが利用できれば、ボイラーの水すらいらないのである。もちろん山間へき地を選ぶこともない。ビルディングの地下室が発電所ということになる。
 「そんなことはできなかった」と述べた小出氏。自分自身も原子力に夢を持ち原子力研究者になったことを振り返って、「原子力にかけた夢は、ことごとく幻だった。いい加減に目を覚まさないといけない」と呼びかけた。
<普通に生活する地域が、放射線管理区域以上に汚れた>
 福島第一原発事故で大気中に放出された放射性物質セシウム137だけで、広島原爆の168発分だとして、福島県の東半分を中心にして宮城県南部、茨城県北部・南部、栃木県の北半分、群馬県の北半分、埼玉県と東京都の一部が放射線管理区域にしなければいけない汚染を受けたと、政府の公表数字をもとにして報告。「放射線管理区域の外側には1平方メートルあたり4万ベクレルを超えて放射性物質を存在させてはいけなかったのに、今や大地が汚れている。放射性管理区域では水を飲むことも食べることも寝ることも許されていなかったが、普通に生活する場所が放射線管理区域以上に汚れてしまった。私が仕事している管理区域の方がはるかにきれいだ。放射線管理区域以上に汚れた地域で生活するしかなくなった」と告発し、「子どもたちを被爆から守るのが大人の責任だ」と述べ、沢田研二の「Friday Voice」と「朝焼けへの道」を紹介して、「どこで選挙やっても自民党が圧勝する信じがたいことが続いているが、この国をもっと愛せるようにするには、こうやって集まり続けて声を上げ続けるしかない。けっしてあきらめないで、原子力マフィアを処罰したい」と訴えた。
 小出氏は講演後、NETIB-NEWSの取材に応じ、福島第一原発事故を収束させるには、「炉心を冷やすために水を入れるのをやめて、金属による冷却や空冷など、水以外の別の冷却方法考えるべきだ」と述べた。政府の収束に向けた取り組みが中期課題で燃料を取り出すとしているのに対し、「(チェルノブイリの)石棺のように閉じ込めることを考えるべきだ」と指摘。
 一方、燃料プール内の燃料については、倒壊の危険のある4号機燃料プールからだけでなく、1〜3号機の燃料プール内の燃料も安全なプールへの移動を急ぐべきだとした。
【山本 弘之】