『 よく食うなあ 』 原発戯画

『 よく食うなあ 』 原発戯画(本田亮)
 何度でも核燃料の再利用ができるかのような宣伝をし、これまで10兆円もの資金がつぎ込まれてきた核燃料サイクル事業。「税金の無駄遣い」の批判が強く、実現の見通しもないのに、安倍政権は継続を決めた。事業の中心は高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)で、実に金食い虫だ。
 もんじゅだけで建設費などは1兆円を要した。1944年、炉内で核分裂反応が連続的に起きる初臨界を実現したが、トラブルや不祥事により発電期間はこの20年間でわずか3ヵ月。停止中でも、維持費用に年間200億円近くかかる。通常の原発と違い、冷えると固まる液体ナトリウムを冷却材に使うため、常にヒーターで熱して循環させている。要する電力は約2万4千世帯分に達する。
 政権は核のごみを減らすための焼却炉に転用して延命を狙うが、技術的な見通しはまだない。それどころか、運用する日本原子力研究開発機構原子力機構)による点検漏れ問題で、当面は使うことすら禁じられている。 (山川剛史)

2014年6月6日 東京新聞