フクシマ“考”:1年の教訓/3 広島原爆被爆者援護事業団・鎌田七男理事長 /広島

フクシマ“考”:1年の教訓/3 広島原爆被爆者援護事業団・鎌田七男理事長 /広島

毎日新聞 2012年04月26日 地方版


 ◇避難区域で線量と生活調査 内部被ばくの証拠提示−−鎌田七男理事長(75)=血液内科学

 −−昨年、計画的避難区域に指定された福島県飯舘村と川俣町に行かれました。調査の結果と評価を。

 ◆当時4〜77歳の15人に、何を食べたかや、事故後にどのような建物で過ごしたかなどを聞き取りし、尿を測定した。事故後54日までの外部被ばくの積算線量の平均は、大人が8・4ミリシーベルト、子どもが5・1ミリシーベルト。尿から放射性ヨウ素が検出されたのは5人、キノコや自家製野菜を食べた人だ。呼吸を通して空気中から取り込んだなら全員から出るはずだから、特に食べ物から入ったと言える。セシウムは微量だが全員から検出された。英語論文が専門雑誌に載り、内部被ばくの証拠を提示することができた。

 住民にただ「安全ですよ」「測定下限だった」と伝えるのは全く安心材料にならない。単に「異常ありません」と言うのでなく、15人には外部や内部の被ばく線量を伝えた。

 −−「広島の知見」は実際に生かせたか。

 ◆個人の被ばく線量の推定、手帳の付与、健康診断、最後に疫学的研究という四つのステップを踏まなければならないという方法論を教えることは可能だ。ただ、広島で起きたことが役立ったかというと、低線量レベルの放射線被ばくの研究がなされていないから、それは何らアドバイスできていない。

 −−以前に講演で「核戦争はだめと言い、原発を是認していたのは矛盾だった」と話されました。

 ◆核戦争はなくそうと言っておきながら、原発問題に関心を持っていなかった。それは間違いだったというのが、私の率直な反省だ。正直に認めることは大事だと思う。あれだけ放射性物質が出され、15万人が避難した。あってはならないことが起きたと思った。

 原発事故は機械が古くなればなるほどリスクが高い。私の考えとしては、特に開発初期の原子炉は早く廃炉にすべきだ。新しい物は、3年などの期限を付けて稼働させて、その間に新エネルギーを導入する。そうして最終的に全てを廃炉に持っていくという考え方だ。【聞き手・加藤小夜、吉村周平】