自然エネ、20年代に2割=原発事故の教訓伝達「歴史的責務」−首相がOECD演説
【パリ時事】菅直人首相は25日夕(日本時間26日未明)、パリの経済協力開発機構(OECD)設立50周年フォーラムで演説した。東京電力福島第1原発事故を受けた今後のエネルギー政策に関し、太陽光や風力など自然エネルギーの比率を2020年代のできるだけ早い時期に20%とするため、技術開発に取り組むことを表明。原発事故の検証を通じて「新たな多くの教訓を深く学び、世界や未来の世代に伝えていくことは、わが国の歴史的責務だ」と強調した。
総電力に占める自然エネルギーの割合は現状で9%。昨年6月に改定された「エネルギー基本計画」では、30年までに自然エネルギーを20%にするとの目標を掲げている。首相はこれを前倒しし、自然エネルギー重視の姿勢を打ち出した。
演説で首相は、東日本大震災や、原発事故に対する各国の支援に謝意を表明。原発事故については「一日も早く事態を収束させるべく、国の総力を挙げて取り組んでいる」と説明した。事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)を設置し、技術、人材、組織などの面から検証を行う方針を示した。
今後のエネルギー政策に関しては、原子力利用の継続を示しつつ「最高度の安全性」を実現すると言明。また、原子力、化石燃料という従来の基幹エネルギーに加え、自然エネルギーと省エネルギーを新たな柱に据える意向を表明した。
自然エネルギーの普及を加速するため、太陽光発電のコストを20年に現在の3分の1、30年に6分の1とする目標も明示した。(2011/05/26-02:09)